世の中に健康食といわれるものはたくさんありますが、特にハチミツはなじみが深いものですね。
古来からハチミツは食材としてだけではなく、滋養強壮作用、抗菌作用、保湿作用をもつ薬品として世界中で重宝されてきました。

なかでも、インドでは神々への礼拝のときにハチミツが供えられますし、サンスクリットの祈りのことばのなかでもすばらしいものを讃えるときに「マドゥ」(ハチミツ)の言葉を使うことがよくあります。
もちろん、アーユルヴェーダでもハチミツは特別な食物であり薬でもあります。

トリグナ

アーユルヴェーダの根幹をなす考えのなかに、食物の性質をあらわす三つのカテゴリーがあり、「トリグナ」とよばれています。

サットヴァ:純粋性
ラジャス:動性
タマス:惰性

トリグナは私たちの心に影響を与えます。

サットヴァの性質をもつ(サトヴィックな)食物は新鮮で風味豊かです。
心は純粋な状態に向かっていきます。穏やかで、調和に向かいます。

ラジャスの性質をもつ(ラジャシックな)食物は辛みが強く刺激があります。
心の動きは活発になるのですが、自己中心的で攻撃的になります。

タマスの性質をもつ(タマシックな)食物は、作りおきのものや残りものなど時間が経過したもの、風味のないものです。
心は内向的になり、抑うつ的になります。

トリグナを考慮した食物のとりかたはトリドーシャとよばれるカラダの三つの体質(ヴァータ・カパ・ピッタ)バランスにも大きく影響を与えますが、アーユルヴェーダではサトヴィックな食物をすすめることが多いです。

ハチミツはサトヴィック

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とろっとなめらか、金色に輝き、豊かな香りと風味のハチミツを口にすると、穏やかで幸せな気分になりませんか?

アーユルヴェーダにおいては、ハチミツはサトヴィックな食物になります。
しかもオージャス(生命エネルギー)を増やす食物とされています。
そして、ヴァータ・カパ・ピッタ、どの体質においても適切にとることでカラダの調和をとる大きな助けになってくれます。
いいことづくめですね!

では、どのようなハチミツを、どのようにとればいいのでしょうか?

選び方

健康をきづかう私たちが無農薬・有機栽培のオーガニック野菜を選ぶのと同じように、ミツバチが蜜を集める花が無農薬・有機栽培である、オーガニックハチミツが理想的です。

また、アーユルヴェーダでは、ハチミツを加熱すると毒素の性質(アーマ)を持ってしまい病気の原因につながるとされています。
市場に出回っているハチミツの多くは加熱処理されたものですが、非加熱ハチミツを選ぶようにしましょう。

使い方

みなさんがよくご存じなのは熱いお茶や料理に甘味料として加える使いかたですね。
西洋料理などでは砂糖などと同じように、ケーキや鍋料理などの加熱する料理に使いますが、アーユルヴェーダではハチミツを加熱すると毒素に変化するといわれているため、加熱して使うことはすすめられていません。
加熱したものには混ぜ合わせないようにするか、もしくは食べる(飲む)直前に混ぜるのがいいでしょう。

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美しい花の蜜を凝縮したハチミツは自然の恵みがいっぱいです。
食生活にハチミツを上手にとりいれて、ヨガで整えられた心とカラダをさらに良い状態にできればいいですね!


【参考】
ラベイユ監修『はちみつ大好き。』マーブルトロン、2006年
La table verte 公式サイト http://www.la-table-vert.com/